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著者の青木真也氏は現役の格闘家です。
ただ、体も小さかったこともあり、中学時代は補欠選手という立場も味わいます。
その後、いきなり相手に飛びついて関節技を決めるという独自のスタイルで実力を開花させつつ、早稲田大学に進学します。
ただ、そのスタイルが大学で受け入れられず(王道の柔道は組んで投げる型)、退部。
その後「修斗」という格闘技団体でチャンピオンになるも、生活ができるファイトマネーを得ることはできないと、静岡県警に就職します。
ちょうどその頃、大晦日に紅白以上の視聴率を取る総合格闘技ブームが起こります。
「K-1」や「PRIDE」という団体です。
アンディ・フグ
ピーター・アーツ
アーネスト・ホースト
ジェロム・レ・ヴァンナ
ミルコ・クロコップ
ヴァンダレイ・シウバ
桜庭和志
グレイシー一族
エメリヤーエンコ・ヒョードル
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
誰でも知っている(多分)次々と名前が出てきます。
そんな時代です。
そこに飛び込むべく、静岡県警をやめて、格闘技の世界に戻ります。
そこからの快進撃はすごかったです。
跳関十段というキャッチコピーで次々と強敵を撃破していきます。
相手はチャンピオンで、”彼と向き合ったとき、僕は瞬時に「殺されるかもしれない」と感じた。”や、”カルバンとの2試合目を放棄できれば、どれだけ楽かと思った”と本書で語るJ.Z.カルバン戦。
ヨアキム・ハンセン戦など。
ただ、廣田瑞人戦での腕折り事件、長島☆自演乙☆雄一郎戦での1R逃げ回りからの2R豪快なKO負けなど、ヒール(悪役)としての話題が多い選手でもありました。
(本書では、これらの試合についても触れられています。長島☆自演乙☆雄一郎戦の敗戦については”正直に言うと、負けた後の1年くらいは苦しかった。文字通り「地獄」に落とされたような気分にもなり、試合を見返すこともできなかった”)
でも、実際はこんな愛すべき格闘技バカなんです(2:30くらい~9:50くらい)寝技王がタイで立ち技修行もします。
マッハさんには負けちゃいますが、勝っても負けても濃い人。
それでも・・・
”「青木真也」は嫌われ者だ。嫌われるということは感情を揺さぶっているということでもある。話題に上がらず、ただ通り過ぎられるようでは、まだまだ甘い。”
と、本書で発言しているように、嫌われ者OKというよりむしろ嫌われ者を売りにするという、完璧な自分のブランディングを行っているプロなんです。
あの60億分の1と評されたヒョードルに日本最強はアオキと言わせたくらいの選手です。
それでも自分の得意分野をわきまえて、自分の居場所を見つけ、そのポジションへの一点張りでこの世界を生き抜いてきたんです。
10数年前は視聴率で紅白すら超えてしまうような人気のあった格闘技も、PRIDEやDREAMといった団体が相次いで沈没してしまい、格闘技は一部のマニアだけのものになってしまいました。
そんな時代も生き抜いて、いまだにチャンピオンとして現役でやっている。
その価値はすごく大きいです。
そのなかで、淡々と自分の道を進む知恵をこの著作では語られています。
「空気を読んではいけない」=自分の立ち位置を把握して、それを崩してはいけない、そして、それを邪魔するものは捨てても良い。
そのスタイルを守ることで、沈んでいる格闘技界で生き生きと活躍している現在の青木選手があるというのが良くわかります。
”「チャンピオンが食えない業界がおかしい」のではない。チャンピオンなのに食えないファイターがおかしい」ということだ。”とバッサリ。
このような考え方はすべての業界に応用できると思います。
自分に応用できる部分、できない部分はありますが、間違いなくこの本は何度読んでもいいくらいの名著だと思います。
突き刺さった言葉はたくさんありますが、あといくつか。
”どれほど苦境に立たされても、最後の一瞬まで諦めなければ、世界が変わる可能性は残されている。”
”大事なことは周りの評価に惑わされることなく、信念を持って仕事を続けることだ。
自分がブレずに仕事を続けていれば、過去の失敗は、未来で変えることができる。”
最後に・・・
桜庭VS青木
これを見てまだ青木真也をヒールと感じる人がいるのかな?
彼はヒールもヒーローもすべて受け入れるプロフェッショナルだと私は感じました。