今日は、中学生が高校入試偏差値60を取るために必要な勉強時間について書いていきたいと思います。もちろん個人差はありますので、そんなのは人それぞれと言ってしまえばおしまいなのですが、偏差値60というのはそれなりに高い水準であるとは言え、普通の事を普通にやっていれば到達できるという事を明確にしておきたいと思い、あえて書きます。
なぜ、そんなことがわかるのでしょうか。
簡単です。僕はこの教室で全員の全教科を一人で見、そして全員の勉強への取り組みのほとんどすべて、そしてその結果を見ているからです。
小学校1年生から中学校3年生まですべてです。プリントの丸付けと解説をすべてやっています。入試レベルのものまですべてです。
全生徒の勉強の成績に関するものをすべて把握しています。
そして、どうすれば最も効率的に成績を伸ばせるのか、教科バランス(教科による特性)も考えつつ個人の得意不得意も把握して最短最適な方法を常に探し続けているからです。使えるツールも日々進化していますし、入試で求められることも社会の変化につれ、変化します。それらにも対応していかなければならないので、日々試行錯誤です。
もちろん教科別でやっているところに比べると、教科指導力では劣ります。
ただ、対応できないレベルの教科指導力が必要な生徒さんに関しては、いつも正直に別の塾に行かれることをお勧めしています。
また、教室形態も特殊で、通い放題、入退室の時間も自由です。
だから、基本的に家で勉強する時間よりこちらで勉強している時間の方がはるかに長い生徒さんが圧倒的に多いです。
逆にここではやっていないのに家でバリバリやっているという生徒さんはほぼいません。
だから、僕が見ている姿、僕が見ている間にやっている勉強の時間が、トータルの勉強量、勉強時間に限りなく近いんです。
学校の宿題や課題を家でやっている人はいるでしょう。
ただ、学校の宿題を自分の学力を上げるためにきちんとやっている人はほぼいないでしょう。
先にちゃんと授業や教科書で勉強してから問題を自力でテストの練習としてきちんと解き、間違えたところは自力でできるまで直し、わからないところは先生に質問をし、期間を開けて何度も繰り返すという正しい方法でやっている人はとても稀でしょう。
実際は、教科書を見ながら書き込んでいたり、答えを写していたり。そして1回きり。
それはただの作業であって、勉強ではありません。
頭がまったく働いていないので、何も残りません。
教室では、いろんな生徒さんがどこでつまり、それをどのように克服していくか、どのような勉強をどれだけしたらどのくらいの期間でどのくらい伸びるか、そういうのをすべて見ているわけです。個性は違えど、人間の能力にはさほど違いはありませんので、ほとんどが同じ経過に対しては、同じ結果になります。
だから勉強時間と内容から得られる成果がかなり正確にわかるのです。
では、本題に入ります。
ここで今から書くことは、無理して頑張るとかいうのとは無縁の話です。
正直、このレベル(偏差値60)であれば頑張らなくても到達します。
ですので、これは受験生だけでなく、中1、中2、さらに小6くらいからはあらかじめ知っておいていただきたい内容になります。
偏差値60というのはどのくらいかと言いますと、上位16%くらいのところです。
高校で言うと、この地域の公立であれば池田高校に合格可能性80%以上というレベルです。
成績表も5教科については、ほぼオール5に近い成績を取っているかと思います。
さらに上の学校も、多少ギャンブルにはなりますが、受験は可能です。
また、私立では、桃山学院の英数は無理でも文理回し合格はほぼ確実、国際は確実という感じです。関大系もまず大丈夫です。
履正社ではSコース、箕面自由学園ではSSは無理でもSは行ける、大阪桐蔭はⅠ類は無理だけどⅡ類は行ける、そんな感じです。
そのまま高校でも普通に勉強をすれば、関関同立に推薦枠を使わずに一般入試で行けるというレベルです。
高校1年からしっかり勉強したら国公立にも行けるという感じです。
またこのレベルというのは、高校にせよ、大学にせよ、ほぼ「自分で行きたい学校を選べる立場」と言い換えることもできます。(もちろん最上位のコースは除いてです。最上位はやはり65以上、上位7%以上になります。)
自分に選択権がたくさんある場所、少なくともここをまず狙いたいところです。
結局、目標が今なくて、勉強する意味がわからないという人にとっても、いずれ見つかったときに、到底今からでは無理と言われるよりは、今からでも十分行けますよと言われる位置にいる方がいいのではないでしょうか。
それまでの備えと考えればいいのではないかと思います。
そして、このラインはやることを普通にやっていれば誰でも狙えるところではあります。
鉢巻き巻いて気合入れてやらなければいけないというものではありません。
では実際にそうなるためにはどうすればいいのでしょうか。
中学1年生から以下のような感じであれば大丈夫です。
(正確に言えば、もちろん小学校の頃からの積み上げも関係しますが、ここでは考慮せずに進めます)
今まだそうでない1年生、2年生はこれを参考にして、2学期から心がけてください。
まずは定期テストの最低2週間前くらいからは、しっかりとテスト勉強を始めて、少なくとも4時間×10日以上=40時間以上の学習(学校の課題以外)が必要です。
それでテスト範囲の学習を2周から、上手くいけば3周はできます。
うちの教室で使っているプリント教材できっちり3周して定期テストで8割取れないという事はまずありません。
もしそんな事があれば素直に謝ります。
もちろん、テスト前ではない期間も週に2時間×3日、あるいは毎日1時間の6時間から7時間程度の学習(学校の宿題の時間を除く)で、すでに1周もしくは2周程度していれば、テスト前にそれほどバタバタすることもないですし、後述しますが、そのパターンであれば偏差値60よりさらに上を目指せます。
ハードルは意外過ぎるほど低いです。
でも、それが中学生にはなかなかできないんです。
今の中学生は、部活に加えて、昔でいうところのテレビ、ラジオ、テレビゲーム、ラジカセ、漫画、電話、新聞、手紙、百科事典、図書館のすべてが入ったスマートフォンをだいたい持っています。生まれたときからすでに、iPhoneがあったわけですからうまく付き合っていく他、仕方がありません。
もちろん、百科事典や図書館を嬉しく使いまくっている中学生は少ないでしょうから、その結果どうなるかは、言うまでもありません。
ただ単純にそれが悪いとは言いません。それがあるおかげで、昔よりはるかに効率良く勉強ができるようになったのも事実ですので、上手に利用すればものすごい武器です。
ちなみに、「青空文庫」「Project Gutenberg」というサイトで著作権の切れた日本の文学、世界の文学が大量にすべて無料で読めるという時代になっています。こちらについてはまた別の機会に紹介します。
話を戻します。
まず必要なのは、それほど高くはないハードルをしっかり毎回超えることです。
つまり、定期テストで8割(平均6割程度の設定のテストの場合)を安定してキープすることです。
結局のところ、受験勉強をしても、自分の普段の成績より上げるということはなかなか困難で、むしろ、まずは以前の状態に戻すので精一杯となることが多いですから、普段の成績が、とても大事ということになります。
普段8割の人と普段6割の人ではスタートラインが違うので、同じところを目指すとすれば同じようにしていては無理に決まっています。
平均6割のテストであれば、校内の約2割の生徒が400点以上を取っていることが多いです。
ですので、5教科で400点ギリギリでは偏差値60には届かず、57〜58くらいになるのではないかと思います。もちろんその時点のその中学校内での偏差値ですが、全体とそれほどかけ離れることもないと思います。
410点か420点くらいが偏差値60(上位16%)ラインだと思っていただいて大丈夫かと思います。
ただ、もちろんそれは入試偏差値とは違います。
では、定期テストでそれだけ取ってさえいれば先ほどの偏差値60ラインに到達するのかというと、決してそういうわけではありません。そこまで甘くはありません。
定期テストで8割を取っていても、そのままだと中3になって、偏差値は50そこそこくらいになってる可能性も結構高いです。
中3になっても中1、中2の内容で定期テストの8割を取れていた頃の学力をキープしていることはほぼないからです。ノーメンテナンスであれば、4割程度は忘れていて当然です。
怖いですけど、それが現実です。
ほとんどの生徒さんが、中3の夏の時点で、中2内容は4割、中1内容は5割以上のことを忘れてしまっています。
数学に関しては、積み上げなので中3内容がしっかりできているのであれば計算や関数については飛んでしまっていることはほぼありません。一部暗記系の統計問題や、空間図形の問題、証明問題の合同条件などは飛んでいることもありますが、そこはすぐに修正可能です。
ですので、数学だけは夏休みも進めるという方法を取っています。
ただし、通常進めるのは11月の五ツ木の範囲になる2次関数までです。
(偏差値65以上を目指すのであれば夏休みで中3数学を全部終わらせておく必要があります。)
そこまで進めたらあとは五ツ木の過去問など本番レベルの問題をバンバンやっていきます。
(偏差値65以上はもうここで入試過去問に入って行っても大丈夫です)
英語は文法事項で飛んでいる項目が多いです。特に2年の比較、受け身、助動詞の言い換えなどはすっかり飛んでしまっています。意外と中3でやった現在完了などはまだほとんど飛んでいません。
もちろん、好き嫌い、単元にもよるということで、個人差はありますが、
理科や社会(特に1年でやったところ)については驚くほどぶっ飛んでいます。
それをどうするべきか。
そこで必要なのが長期休暇中の復習になります。
特に夏休みです。
同じ長期休暇でも、春休みはどちらかというと、復習より進めることを優先します。
中3の内容がどの教科でも一番重要だからです。
難しいことに加えて、入試や実力テストで出る割合が高いです。
正直、余裕があれば夏休みも進めておきたいのですが、
間近に迫った実力テストの優先順位が圧倒的に一番になりますので、まずは復習です。
とは言え、一から全部復習なんて効率の悪いことはしません。
五ツ木過去問などの実力テストレベル、本番レベルの問題を解いてみて、難しさに慣れて行くと同時にそこで、自分の穴を発見していきます。そしてその発見した穴をすぐに埋めて行く、そういう勉強を延々としていくわけです。
穴がない人はいません。なさそうでもあります。中3になって勉強方法が身についてきて、定期テストで450点くらいをコンスタントに取れて穴がなさそうなイメージでも、意外と1年生のところが実は穴だらけだったということは結構あります。
だから逆にそれを発見できて、その単元をしっかり復習できてラッキーと思うべきです。
また、一度はできていたことなのでそれほど大変ではありません。
以上を踏まえて夏休みに高校受験生は最低4時間の勉強(学校の課題を除いて)が必要だと考えますが、
今からその根拠を書きたいと思います。
その時間で何をするのかというと、定期テスト当時の実力のレベルの回復です。
(先ほど書きましたが、数学だけは少し違います)
ですので、定期テストで平均点くらいの生徒と400点以上の生徒では、
そもそもスタート地点が違いますが、ここでは400点以上のところまで戻すという前提で話をします。
中3夏休みの時点で、中1の時に5回、中2の時に5回、中3で2回の定期テストを経験しています。
合計12回です。
毎回400点をキープするために、最低40時間を要していましたので、12回で480時間を費やしていたということになります。
そして、中3の2回分についてはそれほど抜けていないので、考慮せず、中1,中2で4割程度抜けているところのカバーということで考えると、
中3を除く10回、400時間の4割=160時間です。
それを40日で割ったら4時間ということです。
まぁざっくりしすぎな目安ですが、僕が今まで多くの中3生を見てきた経験上、
単純にせいぜいそんなものです。
通常は学校に4時間以上は行っているわけですからそんな程度の時間が作れない方がおかしいです。
つまりは普通にやることをやっていれば偏差値60というのは遠くはないということです。
そして、ひとくくりにして「中3は4時間」って言ってしまっていますが、
うちの教室で一番多いゾーンがそこだからです。
約半分の生徒さんは定期テストで400点を取って来られます。
ですので、そこを基準にしています。
平均レベルの偏差値50であればそもそも定期テストの勉強時間も違いますので、もっと短くてもいいという話にはなります。
定期テストで平均くらいを取っていて、そのまま偏差値50をキープしたいとかであれば4時間も必要ないかもしれません。
ただ、定期テストで平均点くらいだったのであれば、復習せずにそのまま夏休みを終えると平均はとうていキープできずに、中3の2学期時点の偏差値は45くらいになります。定期テストで400点くらい取っていたとしても、そのまま復習なしだと偏差値50そこそこくらいにまで簡単に落ちます。
ですので、夏休みの重要性は変わりません。
定期テストで8割取っていたレベルに全教科、全単元を回復することができれば偏差値60は余裕になります。定期テストは取れるけど、実力テストでは取れない中3生は多いです。
難問に対応できないから実力テストや模試で点が取れないと思われがちですが、実は本当の理由はそうではありません。
中3の時点で、どこの単元も定期テストで8割を取れるレベルであれば、確実に点数を取れるところを落とさずに取ると、偏差値60は普通に越えます。
基本事項をポコポコ落としているから取れないのであって、難易度が高い問題が解けないから取れていないのではないんです。
教科書レベルがほぼまんべんなくできるところが偏差値60のラインです。
(教科書レベルが完璧にすべて秒殺できるレベルが偏差値65のラインです)
一度できていたレベルに戻すだけなので、決して難しいことではありません。
これが、定期テストは平均だったり平均以下だったところから偏差値60まで伸ばそうという事なら夏休み160時間で足りるはずもありません。
そもそも普段の勉強が足りていなかったから平均もしくは平均以下だったわけですから、それに上乗せしてまずは定期テストで8割取れるレベルまで持ち上げなければいけないからです。
そのような生徒さんがおられたらもちろん4時間×40日なんてのんびりした事は言いません、普段400点が取れていた場合であればその程度で済むということです。
2学期に入ると、もう復習なんてほとんどできませんので、夏休みにやったかやらなかったかでほぼ決まり、そこから大きくは変わりません。
上から落ちることはあっても下から這い上がることは相当難しいという、恐ろしい期間が2学期です。
結局のところ、受験体制への切り替えというものは、まずは今までできていたのにできなくなっている穴を見つけては埋めて行くという事であって、それができてから今までできていなかったことを上乗せしていくということになります。
ですから、普段からちゃんとやって来た人の方が当然有利です。
一発逆転なんていうのはただの夢です。
夢でなく現実にするためには、もはや睡眠時間を削ったりスマホを捨てたりして時間を作っていくしかありません。
それと短時間で逆転するために不可欠なものは国語力です。
国語力の中でも読解力です。大事なところとそうでないところをしっかり見抜く力です。
解説などを理解する力です。
圧倒的な国語力を持ち合わせていて、かつ圧倒的な努力をしたものだけが逆転も可能です。
ただし、学校がない夏休みの期間にできなかったことを学校が始まってからできるはずもありません。
そんな事が一番忙しい2学期にいきなりできるはずもありません。
ですので、夏休みがラストチャンスです。というか、今のタイミングであれば、ラストチャンスでしたと言うべきかも知れません。
夏休みを逃してしまった受験生はまた個別で面談が必要になります。
ここまで書いてきた事ができた人は秋の実力テストで好成績を残し、すんなりと受験校を確定することができます。その時点でほぼ勝負はついています。
冬休みはやって当たり前(ここでは私立の受験校の赤本をひたすら繰り返します)なので、何も差がつきませんし、逆転もありません。受験校の問題レベルに体を慣らすという期間です。
それが高校入試です。
では偏差値65以上のレベルの場合はどうでしょうか。
実は時間はそれほど変わりません。
時間的な問題ではありません。
もちろん、やればやるほどいいというのは当たり前ですが。
ただ、やっていく内容が大きく違います。
偏差値65レベル(上位7%くらい)になる人達は、もともとコンスタントにやっているので、定期的に復習のメンテナンスができています。すでに春休みにスイッチが切り替わっていて、比較的スケジュールが楽な1学期の間に復習も並行して進めています。
夏休み限定で一気に復習するという必要はないです。
あとは、ずっと定期テストとかはテスト前に軽く復習する程度で取れて当たり前でそんなに対策をせずに、先に進めることを優先しています。
それでも450点くらいは取れます。
ということで、すでに進度的にも中3の最後まで夏休みで到達するくらいまでは余裕で進んでいますので、入試レベルの問題をすでに解いている状態になっています(英語、数学のみ)。
ですので、実力テストとか五ツ木の模試とかも特に難しく感じることもなくクリアしていきます。それが65レベル以上です。
上位層がやっていることは、中学受験、高校受験、大学受験に共通して、「先行逃げ切り」です。
テスト前に集中して勉強するというスタイルとはまったく違い、普段からコツコツ進めて行った人たちが上位にいるのは当たり前です。
結局は早くからコツコツできる習慣を身に付けて行くことに尽きます。
当たり障りのない結論になっていますが、そもそも勉強なんて、やるべきことを普通にやっていれば成績は普通に伸びるものです。
できないのではなくて、やっていないだけなんです。
だから普通にやるということを身に付けることが一番大切なんです。
さらっと普通に淡々とやって行く、それだけなんです。
ある意味、とてもつまらない結論になってしまいました。
ですが、何度か読み返してみてください。
きっと自分にもできると思えることでしょう。
その気になって動き始めることができれば軽いものです。